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2011/04/19

人類の軌跡その70:忘却⑱

<シベリアの悲劇その5>

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◎125万人の凍死

 1919年1月13日から、翌年の2月迄、3ヶ月に渡りこの空前の人類の受難劇が、1日も休み無く続いたのでした。
そして終に、500トン近い金塊を放棄する日が訪れます。
既に28両にも上る装甲車両の燃料を使い果たし、止む終えず金塊を馬橇に積み替える事としました。
しかし、猛烈な寒気は、橇を引くシベリア産の馬達を次々と、凍死させて行き、結果、帝政ロシア政府から継承した、金塊はシベリアの荒野に遺棄せざるを得ませんでした。
退却時に空しく遺棄された金塊は、その後どの様に成ったか誰も知らない、謎の一つと成りました。

 しかし、この行為で行軍が終わった訳では無く、殉教者の群れは、尚も西へ西へと無意味な旅を続けますが、人々は唯死んだ様に、脚を前後に動かしているだけでした。
雪は猛烈な風を伴い、止む事を知らず、その雪の中を足取りも重く歩いていると、不思議と眠りを誘います。
この誘いに負け、体を少しでも横にして休んだ者は、再び醒める事の無い永遠の眠りに落ちて行きました。

 最初は、指導者達も、声を嗄らし「眠ってはけない」と叫び続け、人々を励ましましたが、最後にはその指導者達も自らその眠りに誘い込まれました。

 退却の群れは日毎日毎に、加速度的に減少していき、そして辛うじて寒気に耐え得た残存者達も、更に気温の下がる凄まじい寒さの中に、一歩一歩と重い足を運び、過去に記録さえないシベリアの寒さは、残酷極まりない苦痛と成って、人々を苦しめ続けました。
余りの寒さに、氷柱が瞼の回りにできはじめ、大きな氷の叢林が睫毛から下がって行きました。
涙がそのまま凍り、目も開けられない程、雪は荒れ狂い、ノボ・ニコライエフスク市近郊では、一晩で20万人が凍死したのは、この時でした。

続く・・・
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