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2008/10/04

「火の鳥・羽衣編」

火の鳥・羽衣編

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天の羽衣伝説を題材にした短編です。

<物語>
 平将門の時代、遠州美保の松原の浜に一人の女、おときがやって来た。
おときは服を脱ぐと泳ぎ始める。
浜の漁師、づくが木にかけられている女の服を見つけ、その見たこともない衣服に見とれ、自分のものにしようとする。
それに気づいたおときは服を返してくれるよう頼む。
遠い空の国から来たというおときの話しに、づくはおときを何でも願いをきいてくれるという天女だと思いこみ、3年間だけ一緒に暮らすという願いを聞いてくれたら服を返すと言う。
こうしておときは3年の間だけ暮らすことになった。
時が経ちいつしか情も通うようになった二人の間には子供も生まれ、3年が経った。

 このまま暮らすか去るか迷うおときであったが、そんな時、いくさの徴用でづくが兵隊に取られそうになる。
おときは仕舞っていた服を都からの使いに差し出し、づくを見逃してくれるよう懇願する。
づくは、おときが止めるのも聞かず、服を取り返しに行く。
それから更に1年、おときはづくの帰りを待ち続けたがづくは帰って来なかった。

 おときは千5百年の未来から来た未来人であった。
未来の戦争で孤児となり収容所に閉じこめられていた時、目の前に火の鳥が現れ、好きな所に連れていってくれると言われたのだった。
おときは過去の人間との間に生まれた赤子は生まれてはいけないはずの子だったと、我が子を殺そうとするが、出来ず、赤子を連れてこの時代を去る事を決意する。
やがて、おときの去った家にづくが瀕死の重傷を負いながらも服を手にして帰って来た。
おときが去った事を察したづくは、最後の力で服を木の根本に埋めると息絶えるのであった。
 
<注記>
本来は、続くCOM版「望郷編」のプロローグとして発表された短編です。
しかし、内容に問題箇所(核被爆)があった為、原稿はそのままに、話しを変え再度発表されたものがこの作品です。
単行本化に際しては更にページが書き足され、づくが死ぬシーンが追加されました。
本来発表されたものとは違う形に構成しなおした事により、作品の訴える本来のテーマが失われてしまったのは仕方のないことです。

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