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2011/05/01

人類の軌跡その82:大航海時代⑪

<雨の神の花嫁(チェチェン・イッツア)その4>

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雨の神の花嫁②

 やがて夜明けの時間が訪れると、法螺貝の合図と共に、生贄の行列は、司祭長を先頭に、神殿を後に聖なる泉に向かいます。
綺麗に掃き清められた、90段もある急な階段を下り、石畳の上に足を印した時、雨の神の栄光を称える楽隊がその列に加わり、生贄の少女とその警護の勇者は進んでいきます。
石畳の道は、聖なる泉の縁で突然終わり、密林に囲まれた石造りの祭殿に行き当たります。
祭壇の先は、聖なる泉が静まりかえって存在し、周囲の木々の梢から太陽の光が差し込んで来る頃、司祭長は祭壇から、泉に向って手を差し伸べ、雨の神に祈りを捧げ、やがて太鼓の合図と共に花嫁が泉の縁に進み、6人の司祭が彼女を抱えるとゆっくりと前後にゆり動かし、楽隊の旋律は序所に早くなり、それが最高潮に達した時、花嫁は司祭達の手を離れ、暗い泉の中に向っていきました。
警護の若者がその後を追い、さまざまな品物が泉に投げ込れるのでした。
後に「ユカタン事物紀」(Relacion de las cosas de Yucatan)を著したディエゴ・デ・ランダ(Diego de Landa)は、「若し、この国に金が在るとするならば、この泉こそ、その大部分を沈めている筈である」と述べています。

 この儀式も16世紀中頃には終わりを告げ、ユカタン半島がスペイン勢力に落ち、マヤ族の王国が滅亡してからは、一度も行われた事は在りません。
その後、聖なる泉の周囲は自然に戻りつつ在り、僅かに石造りの祭壇や荒れる任せた石畳が、その昔の面影を留めるばかりなのです。

続く・・・

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