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2011/05/14

人類の軌跡その95:歴史と女性④

<砂漠の女王ゼノビアその4>

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◎東方の女王③

 今やパルミュラは、世にも優れた国王と女王を戴き、近隣にその比を見ぬ程の強国に成りました。
その絶頂にあった時、オディナトウスとその息子の一人が、マエオニウスに暗殺されました。
マエオニウスは、以前国王が狩猟に出かけた折、無礼な行いが有り、罰せられたことを恨み暗殺を企てたのでした。
 気丈なゼノビアは、夫の死をいたずらに嘆く事なく、その意思を継ぎ、自ら絶対君主と成って「東方の女王」を名乗ったのでした。

 新たにシリアの独裁者に成ったゼノビアは、新しく征服する国を探し求め、遥か西方に地味豊かな文化の進んだエジプトが在り、その地は彼女の祖先クレオパトラの国でもありました。
彼女は7万の軍勢の先頭に立ってパルミュラを離れ、オディナトウスが既に平定していたアラビアを超え、シナイ半島のネゲブ砂漠を横断し、エジプトに向かいました。
僅か一度の戦いで勝利を収め、長子のワハブ・アルラートが「王」の称号でエジプト全土を支配しました。

 今やゼノビアに立ち向かう国は、もはや存在しない様に思われました。
彼女は純白の駱駝に跨り、紫色のマントを翻しながら、砂漠を縦横に駆け巡り、戦いにつぐ戦いをもって、勝利を収め、シリア、パレスチナ、バビロニア、アラビア、ペルシア、小アジア、エジプトはかつての遊牧の民ゼノビアの前に膝を屈し、彼女を最高君主として受け入れたのでした。
ローマ帝国は、かつて領有していた領土の大半を、彼女の強靭な褐色の手で奪われ、それもたった一人の女性で此れほどの広い領土を支配した者は無く、その後にも見出す事はできません。

 かくしてパルミュラは、尊敬と富と栄光に満ち、アジアに於けるローマたる事が約束されたかの様に見えました。
新しい宮殿が建ち、寺院や神殿が建立され、城門の内外には東西の富を満載したキャラバンが集まり、ゼノビアの宮殿には東西の優れた芸術家や学者が大勢おとずれ、ゼノビアはこれ等全ての栄華と光輝を一身に集めていました。
黄金の兜を被り、槍を携え、戦車に乗り、大理石で造られた市内を巡視し、市民は我等の女王に心からの賛美を捧げ拍手を送りました。
特に兵士達の間の人望は、非常に高く彼女の姿在る処、賞賛の歓声は絶える事が在りませんでした。

続く・・・
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