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2011/05/17

人類の軌跡その98:歴史と女性⑦

<砂漠の女王ゼノビアその7>

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        <ローマ皇帝アウレリアヌスと捕らえられたゼノビア>

◎パルミュラの盛衰③


 5日目の明け方、東の空が白く成り始めた頃、駱駝の背に跨るゼノビアの勇士が見られました。
彼女は昨夜から一睡もせず、駱駝を進め、その体は綿の様に疲れていたが、寸刻を惜しみ片時もその歩みを止めませんでした。
明け方の光を通し、遥か前方にユーフラテス川の姿が見え始めます。
其処こそ、ゼノビアの目指す終着地であり、対岸には彼女が助けを求めるペルシアが在ります。

 太陽が昇ると3km程先にシュロの並木が見えました。
川の土手に沿って植えられたものです。
目的地は目前ですが、その直ぐ後方200mにはローマ軍の追撃部隊が、急速に近づいて着ます。
もはや一刻の猶予も無く、ゼノビアは全力を振り絞り、疲れきった駱駝に鞭を入れました。
既に追撃部隊の声が近づき、此処で捕らわれては万事休す、何が何でも川迄、行き付かなければ成りません。
ユーフラテス川の岸に着くや否や、駱駝を飛び降り、岸に下りて小船を捜し求めます。
見れば岸から少し離れた場所に、漁夫を乗せた小舟が一艘浮かんでいます。
ゼノビアは在らんばかりの声で、自分たちを乗せてくれる様に頼み、漁夫は舟を巡らし大急ぎで彼女の処に急ぎます。

 ローマ軍追撃隊と漁夫の競争に成りましたが、残念な事にローマ軍の方に軍配が上がってしまいます。
小舟が岸に着いた時、追撃隊の兵士達は土手を乗り越えて岸に下り、ゼノビアの従者を倒すと彼女を捕らえたのでした。
小舟があと1分早く岸に着いていたら、彼女は逃れその後の歴史も変わっていたかも知れません。
パルミユラに篭城し、飢餓に苦しみ、援軍の到着を一日千秋の思いで待ち望んでいた人々も、ゼノビアがローマ軍に捕らえられた事を知ると、総ての希望を失い、城門を開いてローマの軍門に降ったのでした。
アルレリアヌス将軍は、優れた政治家でも在った為、パルミュラの市民には慈悲を足れ、ゼノビアを捕える事で、一般市民を罰する必要は無いと考え、降伏した市民を許し、僅かな守備兵を残すとゼノビアを連れてローマに凱旋しました。

続く・・・
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コメント

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綺麗な絵ですが奥深いですね。