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2011/05/19

人類の軌跡その100;歴史と女性⑨

<ナポレオンを敗退させた女性・トルコ皇后エイメその1>

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                   ボスポラス海峡より望む

◎始めに

 1812年5月、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(1769年~1821年)は、60万人の大軍を率いて、モスクワ遠征に赴き、同年9月同市を占領したものの、ロシア軍は焦土戦術を展開し、決戦を回避したので、ナポレオン軍はロシアの冬に悩まされ、10月19日モスクワから退却、その大軍を全滅に近い状況に追い遣りました。
この敗退は、ナポレオンの運命を変える一大転機と成ります。

 ナポレオン軍のモスクワ敗退は、ロシアの冬の到来が大きな原因でしたが、この敗北を決定的にした陰に、一人の女性の大きな魔手、報復の手が伸びていた事を見逃しては成りません。
その女性エイメ・ジュビュク・リベリは、一度ナポレオン一世の皇妃となり、やがて離婚の憂き目を見たジョセフィーヌの従姉妹にあたり、「ベールをかけた皇后」(The Velled Empress)として、後のトルコ皇后と成った人物です。

 イスタンブールの観光案内に登場する、一番高い丘の頂上からは、この連綿と続く歴史的は古都の隅々迄見渡す事が出来ます。
1400年前から造営が続いた「教会の母」聖ソフィア教会、更にマホメット二世寺院のドームやミナレットが聳えていますが、そのマホメット寺院の中庭の一角に、殆ど訪れる者もない墓所が存在しています。
その中には、200年を経た、一人の女性が安置されています。

 この墓の主こそ、これから紹介するエイメ・ジュビュク・リベリであり、この女性程数奇な運命を辿った人物は居ないと思われます。
其れは、アラビアン・ナイトの中で語られる如何なる物語よりも波乱に富み、一層空想的な生涯を過ごし、その美貌を持って大帝国を覆し、自分の頭脳で国家を統治し、征服者を屈服させ、世界史の潮流を変えたのでした。
しかも、この女性を一層注目させる存在としたのは、この人物の存在が歴史の陰に隠れ、極めて少数の人物にしか知られていなかった事なのです。

続く・・・

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