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2008/10/07

「火の鳥・望郷編」その異なる作品群

「望郷編」には4種類のバージョンが存在し、それぞれが大きく内容が異なっています。
第1のバージョンは雑誌「COM」に発表され未完となった物、第2は雑誌「マンガ少年」に改めて連載された時のバージョン、第3はこのマンガ少年版を元にした単行本のバージョン、第4は角川書店から発売されているバージョンです。COM版に関しては、「COM版望郷編」の項で既に触れていますので、この項では後の3つのバージョンの差異についてふれたいと思います。
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<マンガ少年掲載版>
 
このバージョンでは単行本の第1ページ目の火の鳥の飛翔をロミが宇宙船の中から目撃するシーンから始まります。
 
ロミが眠り、カインが息子にロミが地球から持って来ていたテープを聴かせて教育をする部分では、カインと息子はロミとジョージが地球から逃亡したいきさつを知ることになりますが、ここでジョージのフルネームが間丈二で、彼は東大の研究所の研究員、ロミのフルネームは一宮ロミで植民当時高校2年生であることが判ります。
 
残された男達が飢えに苦しむ時、カインが自ら犠牲となりますが、その時皆は火の鳥を目撃します。この時、火の鳥はロミに他の星の生物との混血を提案し、ムーピーを連れて来ることになりますが、連載バージョンでは男達の前にムーピーは原型のまま姿を表します。
 
コムが女王ロミの望郷の願いを叶えたいと考えた時、母親のムーピーはコムに火の鳥とコンタクトを取れば願いがかなう事を告げます。コムは念波を送り、その呼びかけに応じた火の鳥がコムの前に姿を表します。
火の鳥は火山の火口に行けば、願いは叶うと言い、また、もし地球に行っても7日しかいられないとコムに告げます。
 
地球に着いたロミ達を殺すことを牧村は命じられますが、連載バージョンでは牧村がロミを撃ち殺す事になります、
 
結末はエデン17の崩壊の後、ノルヴァの子供達の操縦する牧村艇が進んで行くシーンで終わります。
 
<単行本版>
 
単行本バージョンでは連載の原稿の殆どのページが手直しされています。
全体的にはロミの顔が連載時より若く修正され、ナレーションがですます調にあらためられています。
 
単行本化に際しての追加シーンとしては、まず冒頭の火の鳥のシーンが付け加えられ、火の鳥の一人称で物語が始まるようになっています。
またカインの7番目の息子セブがムーピーと出逢うエピソードが追加され、連載時セブであったキャラクターはロトの息子シドという設定に変更されています。
ロミが故郷の森に向かうさい、手助けをする暴走族のシークエンスも単行本でのオリジナルです。
 
連載時ではロミは牧村に殺されますが、単行本では殺されようとしている時にロミの寿命がつきるように変更されました。
また結末はエデン17の崩壊後、牧村がエデンにロミの遺体を埋葬しに寄るエンディングが書き加えられ、余韻のあるエンディングとなりました。
 
このバージョンは朝日ソノラマと講談社から発売された単行本で読むことができます。
 
<角川版>
 
角川書店のバージョンでは単行本のページ数の関係からか、主要登場人物の一人、雌雄同体生命のノルヴァの存在が抹消され、関連するシーンが削除されており、約100ページ程本編が短くなっています。
また章分けがされています。

個人的には「望郷編」は、中断、復活、再度中断を重ねる内に「火の鳥」自体が持つ、壮大さを失ってしまった様に感じます。牧村の存在も、「宇宙編」に繋がる訳でもなく、猿田をなんらかの形で、登場させた方が、より説得力が有る様な気がします。

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