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2011/06/11

人類の軌跡その122:ミステリー⑤或る歴史学者の受難

<イズミル行き急行列車>

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◎同席の少女

 イスタンブールからの車中で、向かい側の席に乗り合わせた黒髪の少女を、考古学者ジェームス・メイラートは最初全く気に留めていませんでした。
しかし、彼女の腕輪が目に入ると、無関心では居られなく成りました。
腕輪は明らかに数千年の歳月を経た、純金の品でしたが、この腕輪を目に留めた事がメイラートを膨大な宝の山へ、そして誹謗、中傷から身を守る長い闘いへと導く結果と成りました。

 全てはペテンなのか?其れともメイラートの名声を損なおうと企てられた、罠に落ちたのか?何れにせよ、事の発端では、彼は突然現れた幸運に、我目を疑うばかりでした。

 その腕輪を見て無関心で居られる考古学者は、一人として居なかったでしょう。
トルコの田園をゆっくりと走る列車の中で、メイラートは少女に話しかけました。
腕輪は自宅に在る物の一つで、他に在るから見せてあげましょうと答えました。

 エーゲ海に面するイズミル(スルミナ)が近く成った頃、メイラートは期待の余り、正気を失いそうに成りました。
1958年の或る夕べの事、気も漫ろにフェリーとタクシーを乗り継いで少女の家へと急ぎ、其処で彼は衣装棚から取り出される宝物を目の当たりにしたのでした。

 メイラートは仰天しました。
ツタンカーメンの王墓発見に等しい大発見が、目の前に展開されているのです。
写真撮影を少女は断ったものの、スケッチなら構わないと答え、その間、自宅に滞在する事を許したのでした。
当然の様にメイラートは、その申し出に飛びつき、数日間、寝食を忘れて夢のような財宝の調査に没頭しました。
不雑な文様を模写し、象形文字の拓本を取り、あらゆる細部を記録していきました。

続く・・・

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