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2011/06/14

人類の軌跡その124:ミステリー⑦或る歴史学者の受難

<イズミル行き急行列車その3>

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                 ミケナイの黄金

◎着かなかった手紙

 1959年11月「イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」紙上に発見を公表した後、自分に浴びせられた汚名を雪ぐ長い苦しい闘いの期間を通じて、メイラートは2つの失敗を返す返す、悔やまなくては成りませんでした。
彼は事前にトルコ共和国の考古局に、発表計画を通知していましたが、その手紙は配達されませんでした。

 メイラートのスケッチが掲載された記事が、公表されると、当然ながらトルコ当局は激怒します。
宝物は何処にあるのか?何処で発見されたのか?なぜ是まで隠匿されていたのか?当局は返答を要求してきました。
貴重な国家の文化財が失われたとして、関係者はメイラートを責め立てます。
メイラートは、知りうる限りの情報を提供したものの、アンナと名乗る少女と宝物は、忽然と消え失せていました。

◎非難

 宝物の喪失にメイラートが何らかの形で、関与していた証拠は見つかりませんでした。
にもかかわらず、トルコの新聞各紙は、人身攻撃のキャンペーンを展開します。
「宝物は、第一次世界大戦直後、ドラクと云うギリシアの寒村で発見されたと少女が語った」と云うメイラートの話は彼の創作で、事実は謎の少女とイズミルに居た、1950年代に発掘されたのだと。
新聞の憶測記事は、直ぐに否定されましたが、個人攻撃と敵視は続きました。
トルコ公安機関の取調べは終了したものの、メイラートの其れまでの貢献は無視され、それ以後トルコの考古学的遺跡での一切の調査を禁止されてしまいます。

 背後に何かが動いている様子が存在しました。
彼らはメイラートが自分の出世の為に、この話を仕組んだと思わせて、彼の信頼を失墜させようと仕組んだのでしょうか?
メイラートは既に考古学の世界で、世界的な名声を得ており、改めて自己宣伝の策略を弄する必要は在りませんでした。

 では、アンナと名乗る少女は何者なのでしょう?
あの日、列車にメイラートと乗り合わせたのは、全くの偶然ではなく、身に着けた腕輪が考古学者の関心を引かずには置かない事を十分に心得た何者かが、少女を向かい側の席に座らせたのではないのでしょうか?

◎組織の囮

 メイラートは、古美術品の密売グループが仕掛けた、巧妙な罠の餌食に成ったとも、現在では考えられます。
彼らはドラクの財宝を隠し、売却する機会を窺がっていたのではないのでしょうか?

 メイラートの様な名声の高い専門家の鑑定が在れば、闇市場での商品価値は上昇し、当然ながらその値段も急上昇する事を密売グループは、十分知っていました。

 権威有る、「イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」紙の記事は、密売グループに取って、品質保証書に匹敵する価値あるものでした。
其れゆえ、宝物は既に世界各国に存在する、コレクターの元に送られてしまったものと思われます。
若しも、この推測が正しいなら、少女アンナと失われた財宝の真相は、永遠に封じられた事に成ります。

終り・・・

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