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2011/06/21

人類の軌跡その130:ミステリー⑬万国博覧会の陰で

<パリ万国博の悪夢その2>

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 馬車を飛び降りると、ロビーに駆け込み、「母の具合はどう?」と彼女は支配人に問いかけました。
支配人は、彼女をまじまじと見つめ、「どなた様の事でございましょうか?お嬢様」。
娘は口ごもりながら、時間が酷くかかった理由を説明しますが・・・。
しかし、「お嬢様、母上の事は何も存じ上げません。あなたはお一人で、お着きに成ったのですから」。

 娘は、半狂乱に成って抗議し、「でも、たった数時間前に、宿帳にサインしたばかりじゃないの!確かめて下さい!」。
支配人は宿帳を開いて、ページに指を走らせました。
中ほどに彼女のサインが在り、しかしすぐ上の、母親が記帳した場所には、別人のサインが書かれていました。
「私と母は、二人ともサインをしたわ!」と娘は言い張り、「母は342号室に入ったわ、今もその部屋に居るはずよ!母にすぐ会わせてちょうだい!」と懇願しました。

 ホテルの支配人は、その部屋にはファランス人が宿泊していると答えましたが、娘は部屋へ向かいました。
342号室には人気は無く、見知らぬ人物の所持品が置かれ、ディープパープルのカーテンも、背もたれの高いソファーも、総て消えうせており、廊下で彼女は、ホテルの医師に出会い、母親の事を尋ねましたが、彼も又、娘に会ったことは無く、ましてその母親を診察した覚えは無いと主張しました。

 娘は、事の次第をイギリス大使館に訴えたものの、大使館側はまともに取り合わず、警察も新聞社も反応は同様で、最後に娘は、精神病尾に隔離されました。

 さて、この奇怪な事件の真相は、娘と母親の出発地がインドであり、当時インドでは、ペストが猛威をふるっていたのでした。
母親を診察した医師は、すぐさまその症状からペストに気づき、この事実が表に出る事は、万国博覧会が台無しになる事を恐れ、事実を隠蔽した結果と思われます。
但し、母親がその後どうなったのか?遺体等の問題等、謎は依然残っています。

終わり・・・

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